オープンブック・マネイジメント

今日の「がんばれ社長」
(http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000041796
に『グレートゲーム・オブ・ビジネス』(ASIN:4198615330)がとりあげられていたので、読み返してみることにした。

グレートゲーム・オブ・ビジネス』では「オープンブック・マネイジメント」というマネイジメント手法をビジネスに持ち込むことが提案されている。

「オープンブック・マネイジメント」の考え方は至極単純で明快だ。会社の財務情報を社員にきちんと公開すること。そして数字の意味、判断の仕方を社員に教育すること。これにより、ゲームに参加する感覚で社員に事業に参加してもらうというただこれだけだ。

この手法では、まず原価の抑制が効く。徹底したベンチマークをそこに持ち込めば、社員一人一人に原価の低減という意識が生まれる。

しかし、原価を抑制してもそれは売上向上には繋がらないのではないだろうか? 個人的にはオープンブックマネイジメントは、成熟産業、製造業では極めて効果的かもしれないが、無形財ビジネス(サービス業や情報産業)では、効果がないわけではないだろうが、著者が社長を務めた会社のような成功は難しいのではないかと思うのだ。

財務諸表の数字をいくらいじくっても、売上をあげるための施策というのはなかなな導き出せない。なぜか? キャッシュインは、顧客からもたらされるからだ。財務諸表上では顧客に関する情報は極めて少ない。通常のP/Lでは、入ってくるお金の項目は営業外を除けば「売上」だけなのに対して、出て行くお金はそれでも細かい。細かくしようと思えばいくらでもできる。この「ゲーム」で売上をあげていくためには、もっと「顧客」の情報を増やした独自の財務諸表が必要だろう。それは各業界や業種によって異なるものかもしれない。
(かといって、ABC分析やRFM分析をやって、おー、うちの売上も80:20の法則にあてはまってるぞ、などと分析することでもないことはもちろんのこと)