プロフィット・ゾーン経営戦略―真の利益中心型ビジネスへの革新

エイドリアン・J. スライウォツキー (著), デイビッド・J. モリソン (著), Adrian J. Slywotzky (原著), David J. Morrison (原著), 恩蔵 直人 (翻訳), 石塚 浩 (翻訳)

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ザ・プロフィット 利益はどのようにして生まれるのか
エイドリアン・J・スライウォツキー (著), 中川 治子 (翻訳)
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「ザ・プロフィット」の方を先に読んでいて、今回、あらためて「プロフィットゾーン経営戦略」を読んでみた。

「ザ・プロフィット」では、23の利益モデルをあげていたが、「プロフィットゾーン経営戦略」では22である。

「ザ・プロフィット」は、「ゴール」シリーズのように、小説形式で23の利益モデルの解説がなされるわけだが、(あれは小説形式にする必要があったのかどうか。ほとんど意味がないような気がする) 「プロフィットゾーン経営戦略」では、いくつかのモデルをピックアップし、そのモデルを採用した企業の事例と戦略の変遷を土台として、いかに利益というものが、製品やサービスではなく、ビジネスモデルから生まれるかということを説く。

「ビジネスモデル」という言葉を使うと、そこには顧客不在の響きもあるのだが、本書で繰り返し主張されるのは、顧客を中心においてビジネスモデルを考えることだ。

本書でとりあげられているコーラや、インテルマイクロソフトといった企業は、あまりにも巨大なので、自社のビジネスにはあてはまらないと考えてしまうのは早計だ。これら企業が、いかにしてビジネスモデルを変更してきたか、そこから利益を増やしてきたかということを見ていくと、そこにはどんな業界の、どんなサービス、商品にもあてはまる何かを発見することができるだろう。


利益が生み出されるモデルから、ビジネスモデルを分類するというのは発想として面白いし、なぜ誰もやらなかったのか不思議なぐらいだ。ただ、「ザ・プロフィット」だけを読むと、なにかこの23の利益モデルを自社にあてはめてみたらということで考えてしまい、そこには顧客の観点が入らなくなってしまう恐れがある。「プロフィットゾーン経営戦略」と併せて読むことで、そういった誤読はなくなるだろう。